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HAMADA'S RENOVATION
08
京田辺のリノベーション

■ DATA

場      所 : 京都府京田辺市
工      期 : 2012年2月~2012年11月
構造規模 : 木造平屋建
敷地面積 : 482.3㎡
建築面積 : 96.23㎡
延床面積 : 96.23㎡

築50年の住宅をリノベーション、再建築不可物件を破格値段で購入 ワークショップでローコストを実現、自然素材にこだわる、成長する家

■背景・敷地環境
敷地は京都府京田辺市、京都や大阪といった都心から電車で1時間ゆられる郊外地です。
昔ながらの杉板壁、瓦屋根の住居が比較的ゆったりと建ち並ぶエリアで、土地の1区画が平均100坪以上と大きく、平屋建てが多い、また自然豊かで緑が多いこともあって街全体がほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。
以前より都市型のライフスタイルに疑問を持っていたオーナー家族(両親+子供2人)は、このエリアで家探しを行っていました。そんな中、古家付で土地面積150坪弱の今回の土地が破格の値段で売りに出ました。競争率の高かった土地をタッチの差で入手し、今回のリノベーションがスタートしました。

■破格の値段 + 補助金でトータルコストを抑える
実はこの土地、両サイドの敷地に押しやられひとつだけ道路から奥まっており幅1.2mの路地で敷地までアクセスするため、建築基準法の『接道』が取れておらず再建築が不可な土地でした。
その結果、周辺の相場からは破格の1400万円で土地+建物を入手することができました。
「再建築が不可」ということと、「ピカピカの新築住宅」に興味がなかったということで、自然とリノベーションという流れになりました。ただ、古いものを生かすという考え方は良いのですが家族4人の安全も確保しなければなりません。そのため耐震診断+耐震改修工事を実施することになりました。
京田辺市は耐震改修工事に100万円の補助金を出しており、今回もしっかりと頂きました。

■ワークショップでローコストを実現
トータルコストを抑えるため、工務店に完全委託する方式ではなく、『できるところは自分たちでする』をモットーに工事をイベント化していろんな人たちを巻き込みながら進めていきました。
具体的には、耐震補強工事や設備配管工事(給排水、ガス、電気)という専門技術を必要とする工事はプロに依頼し、その他解体や内装工事は全てオーナー家族及びその友人達によって行いました。もともと大阪市内でバーテンダーをしているオーナーはその人脈を生かして毎週日曜日にイベントを開催。
「住宅解体ショー!!」、 「しっくい塗り体験!!」などにバーの常連客が眠い目をこすりながら応援に駆け付け、お昼には北庭でバーベキュー。日頃バーで出している絶品カレーでもてなしました。かくゆう私もこの常連客の一人で、このプロジェクトの主催者でもあります。設計から施工のアドバイザーを引受け、ワークショップを主催しました。
結果、主要な部分を大幅にリノベーションしたにも関わらず300万円というローコストで完成させることができました。

■自然素材にこだわる
いくらローコストとはいえ、使う材料には妥協しませんでした。壁断熱材は羊毛、床フローリングは天然杉、耐震改修に使用した面材はモイス(三菱マテリアル)、壁仕上げはスペイン産天然漆喰。
特に奥様がかなりのこだわりようで、『構造用合板や集成材は接着材を使っているので絶対に使用しないで!』とのことでした。着工当時、あまり気にせず構造用合板を大量に現場搬入した際、激怒され返品となった経緯もありました。
ともかく、最近の新築住宅とは違い、天井断熱材無し、エアコン無し、気密性無し(隙間風びゅーびゅー)、でも何故か快適であたたかい、そんな住まいです。

■成長する家
とりあえずの「引渡し」から1年がたった今でも、バーテンダーのオーナーはFacebookで家の状況をアップし続けています。 「靴箱つくりました!」、「洗面にタオル掛けをつくりました!」など。
今でも時間があればDIYで家の家具をつくり続けています。
「将来は北庭を畑にして、そこにパオ置いて、家具もまだまだつくらなあかんし~~」 20年後の姿がどうなっているかが楽しみなことも、この家の大きな魅力です。


撮影/笹倉洋平

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